エナメルに対してレシートなどのバーコードや文字の「転写・色移り」は大変相談の多いトラブルの1つです。
エナメルは色のついた革の上に透明な樹脂をラミネートして作られており、その透明な樹脂が色素を転写吸着し内部に沈殿してしまうという現象を起こします。
表面に色素が存在しませんので、通常の染み抜きでは全く落とす事ができません。
2012年に当社が開発した「色素分離除去処理」を行う事でエナメル質内に沈殿した色素を分離して吸い出す事が可能となりました。
ただし、エナメルは使用しないでも空気中に存在するだけで劣化が進んでいく素材です。製造して3年が経過するとなんらかの劣化が表面化する事が多いので特殊処理ができるエナメルかどうかを診断する必要があります。
1、エナメル自体が経年劣化による変色などの2次トラブルを発生していない事
2、購入して2年以上経過しているエナメルの場合作業が行えない可能性がでてきます。
3、エナメル質内から下の革まで色素が沈殿し移っている場合は、下の革に移った色素は抜き取る事ができません。
エナメル自体の劣化も進んでいる状態でしたので、作業は難しかったですがここまで抜き取れれば使用に気にならないレベルだと思います。

当社で行う色素分離除去処理はエナメルの構造を一時的に変化させて、色素を抜き取り元の状態に戻しますので、作業を行った部分を含めエナメル全体の光沢、艶、色合いは全く変化しません。
エナメルの上にエナメル樹脂を塗装するお店が最近多いようですが、塗装と染色は全く原理が違います。エナメル樹脂を表面に塗装した場合表面の風合いが100%変わりますのでご注意ください。

「色素分離除去処理」はエナメルに染み込んだ色素を抜き取る事ができる世界初の最先端技術です。(2013年1月現在)